車検を受ける方法,認証工場及び指定工場並びに放置違反金

第0 目次

第1 車検を受ける方法
第2 自動車検査証(車検証)
第3 自動車の点検整備
第4 認証工場及び指定工場
第5 放置違反金及び車検拒否

第1 車検を受ける方法

1 外部HPの「車の車検徹底解説」によれば,車検を受ける方法としては以下のものがあります。また,「車検の比較総まとめ!」にはそれぞれの方法のメリット・デメリットが書いてあります。
① ディーラー車検
→ 自動車メーカーの正規ディーラーが併設している整備工場で車検を受ける方法です。
② 車検専門フランチャイズ車検
→ 車検専門フランチャイズとしては,「車検のコバック」,「ホリデー車検」等があります。
③ 民間整備工場車検
→ 「○○整備工場」,「○○モータース」といった看板を掲げています。
    民間整備工場には,点検整備だけを行う「認証工場」(道路運送車両法78条参照)と,点検整備に加えて車検まで行う「指定工場」(道路運送車両法94条の2参照)の2種類があります。
④ カー用品店車検
→ カー用品店としては,「オートバックス」,「イエローハット」等があります。
⑤ ガソリンスタンド車検
→ ガソリンスタンドに頼む車検です。
⑥ ユーザー車検
→ 自分で書類を準備して,運輸支局,自動車検査登録事務所等(いわゆる「車検場」です。)に車を持ち込んで車検を受ける方法です。
⑦ 車検代行
→ 車検場に車を持ち込んで車検を受けることだけを代行してもらう方法です。
 
2 車検を受ける場合,少なくとも,車検証,24ヶ月定期点検整備記録簿,自動車税納税証明書及び自賠責保険証明書が必要です(外部HPの「車検当日の必要書類の準備と提出」参照)。
   自賠責保険証明書については車検日当日,運輸支局敷地内又は近辺の保険代理店で手続をすることで入手することもできます。
 
3 車検が切れた車について車検を受ける場合,車検を受ける前に,所轄の市区町村役場で仮ナンバーを取得する必要があるのであって,これに違反した場合,無車検車運行により違反点数6点のほか,6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。
    また,自賠責保険まで切れている車の場合,仮ナンバーを取得する前に自賠責保険に加入する必要があるのであって,これに違反した場合,無保険車運行により違反点数6点のほか,
6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

4 一般社団法人日本自動車工業会のJAMAGAZINE2014年10月号の「特集 車検制度の歴史と自動車検査の意義・役割」が参考になります。 

第2 自動車検査証(車検証)

1 総論
(1) 運転する自動車には,軽自動車(=軽四輪)及び総排気量250ccを超える二輪自動車(=二輪の小型自動車)を含め(道路運送車両法58条1項参照),車検証を備え付け,かつ,検査標章を表示しておく必要があります(道路運送車両法66条1項)。
(2) 車検には以下のものがありますものの,単に車検といった場合は通常,継続検査を指します。
① 新規検査(道路運送車両法58条)
② 継続検査(道路運送車両法62条)
→ 自家用自動車の場合,新規検査後の継続検査については3年後に行い,その後の継続検査については2年ごとに行う必要があります(道路運送車両法61条1項及び2項)。
③ 臨時検査(道路運送車両法63条)
④ 構造等変更検査(道路運送車両法67条)
⑤ 予備検査(道路運送車両法71条)
(3)ア 総排気量250cc未満の二輪自動車は「検査対象外軽自動車」となる結果,車検制度がありません(道路運送車両法58条1項,道路運送車両法施行規則35条の2第1号)。
イ 道路運送車両法では,①総排気量125cc以上250cc未満の二輪自動車は「二輪の軽自動車」(=軽二輪)となり,②総排気量125cc未満の二輪自動車は原動機付自転車(=原付)となります。
   また,原動機付自転車は,①50cc未満の第一種原動機付自転車(=原付一種),及び②50cc以上125cc未満の第二種原動機付自転車(=原付二輪)に分かれます(道路運送車両法2条3項,道路運送車両法施行規則1条)。
ウ 道路交通法では,①総排気量50cc未満の自動二輪車が原動機付自転車となり,②総排気量50cc以上400cc未満の自動二輪車は普通自動二輪車となり,③総排気量400cc以上の自動二輪車は大型自動二輪車となりますから,道路運送車両法とは定義が異なります。
(4) 自賠責保険証明書を提示しない限り,継続検査(=車検)終了後の車検証の交付を受けられません(自賠法9条1項本文)。
(5) 平成20年11月に自動車に関して登録識別情報制度が開始されたことに伴い,自動車検査証(=車検証)は,①所有者と使用者の欄が設けられ,所有者に関する記載があるもの(=Aタイプ車検証)と,②所有者欄がなく,使用者欄のみが設けられ,備考欄に車検証発行時の所有者,例えばリース会社などの情報が表示されたもの(=Bタイプ車検証)の2種類に分かれました。
   そして,Aタイプ車検証の場合,所有者に関する記載を見ることで,Bタイプ車検証の場合,備考欄を見ることで,ローン会社の留保所有権の有無を確認できます。
(6)ア 初度登録年月とは,登録自動車について,運輸支局に初めて登録申請して受理された年月のことであり,車検証に記載されています。
イ 初度検査年月とは,軽自動車について,軽自動車検査協会に初めて登録申請して受理された年月のことであり,車検証に記載されています。
ウ ソニー損保HP「初度登録年月(初度検査年月)」に,車検証のサンプルが載っています。

2 登録自動車等の車検証
(1) 登録自動車のほか,総排気量250ccを超える二輪自動車(=二輪の小型自動車)の車検証は,国土交通省の運輸支局長又は神戸運輸監理部長が発行してくれるものです。
(2)   道路運送車両法に基づく自動車の登録には,①「所有権の公証」という民事登録(道路運送車両法5条1項参照),及び②「自動車の保有実態の把握」という行政登録の二つの目的があります。
(3) 大阪府の場合,登録自動車の車検証は以下の場所で発行されます。
① 近畿運輸局大阪運輸支局(寝屋川市)
→ 大阪ナンバーを管轄しています。
② 近畿運輸局大阪運輸支局なにわ自動車検査登録事務所(大阪市住之江区)
→ なにわナンバー(大阪市全域)を管轄しています。
③ 近畿運輸局大阪運輸支局和泉自動車検査登録事務所(和泉市)
→ 和泉ナンバー及び堺ナンバー(堺市全域)を管轄しています。
(4) 世間では,運輸支局又は自動車検査登録事務所のことを,旧称である「陸運局」ということが多いです。
   法令上は,①昭和59年7月1日,改正された運輸省設置法が施行されて,ブロック単位の海運局及び陸運局が統合して運輸局となり,②昭和60年4月1日,改正された道路運送法が施行されて,原則として都道府県単位の陸運事務所が陸運支局となり,③平成14年7月1日,改正された国土交通省設置法が施行されて,原則として都道府県単位の陸運支局及び海運支局が統合して運輸支局となりました。
 
3 軽自動車の車検証
(1) 軽自動車の車検証は,軽自動車検査協会(=軽検協。道路運送車両法76条の2以下参照)が発行してくれるものです。
(2) 軽自動車とは,総排気量660cc以下の四輪車をいいます(道路運送車両法施行規則別表第一)。
(3) 大阪府の場合,軽自動車の車検証は以下の場所で発行されます。
① 軽自動車検査協会大阪主管事務所(大阪市住之江区)
→ なにわナンバー(大阪市全域)を管轄しています。
② 軽自動車検査協会大阪主管事務所高槻支所(高槻市)
→ 大阪ナンバーを管轄しています。
③ 軽自動車検査協会大阪主管事務所和泉支所(堺市西区)
→ 和泉ナンバー及び堺ナンバー(堺市全域)を管轄しています。

第3 自動車の点検整備

   自動車ユーザー(自動車ユーザーが依頼した整備工場等を含む。)は,自動車の点検及び整備の義務を負っています(道路運送車両法47条)。
   そのため,車検とは別に,日常点検整備(道路運送車両法47条の2)及び定期点検整備(道路運送車両法48条)をする必要があります(国土交通省HPの「点検整備の種類」参照)し,点検整備記録簿を作成しなければなりません(道路運送車両法49条)。

第4 認証工場及び指定工場

1 自動車の分解整備(道路運送車両法49条2項)を行おうとする場合,地方運輸局長の認証を受ける必要があり(道路運送車両法78条1項),認証を受けた工場を認証工場といいます。
   また,認証工場のうち,設備,技術,管理組織等について一定の基準に適合している工場に対して,申請により,地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をしており(道路運送車両法94条の2第1項),この指定を受けた工場を指定工場といいます(一般には,「民間車検場」又は「民間車検工場」といわれています。)(国土交通省HPの「自動車整備工場には認証工場と指定工場があります。その違いは?」参照)。
 
2 認証工場又は指定工場でない限り,エンジンを取り外して行う作業,ブレーキを分解して行う作業,ハンドル等かじ切り装置を取り外して行う作業を行うことができません(外部HPの「認証工場について」参照)。
 
3(1)   認証工場及び指定工場には,自動車整備士技能検定(道路運送車両法55条)に合格した自動車整備士が一定割合以上いなければなりません。
また,自動車整備士の技能試験に合格していない人は,整備工又は工員といわれます。
(2) 自動車整備士の種類は,一級,二級,三級及び特殊整備士に分類されます(国土交通省HPの「自動車整備士になるために」参照)。
(3) 自動車整備士になるための情報としては,「自動車整備士.com」が参考になります。
 
4   認証工場及び指定工場の業界団体として,一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(略称は「日整連」)があり,大阪府には,一般社団法人大阪府自動車整備振興会があります。

第5 放置違反金及び車検拒否

1 平成18年6月1日以降,放置違反金を滞納して公安委員会による督促を受けた場合,車検時に,放置違反金を納付したこと又は徴収されたことを証する書面(例えば,領収書又は納付・徴収済確認書)を提示しなければ,自動車検査証の返付を受けることができません(道路交通法51条の7第2項。なお,警視庁HPの「車検拒否制度」参照)。
 
2 反則金と放置違反金の両方を納入した場合,放置違反金は後日,返還されます(道路交通法51条の4第17項後段。なお,警視庁HPの「反則告知を受けた方へ」参照)。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。