少年事件
第0 目次
第2 家庭裁判所の事件受理の経路
第3 付訴人
第4 家庭裁判所の調査
第5 観護措置
第6 少年審判
第7 少年審判後の終局処分
第8 少年事件の補償
第9 少年院(旧少年法によるもの)
第10 保護処分の決定に対する抗告
第11 保護処分取消事件
第12 少年審判における一事不再理効
第13 検察官送致決定
第14 少年の刑事事件における少年に対する処分の特則(平成26年改正前の取扱い)
*1 以下の文書を掲載しています。
① 少年調査記録規程(昭和29年最高裁判所規程第5号)
② 少年調査記録規程の運用について(平成4年8月21日付の最高裁判所家庭局長及び総務局長の通達)
③ 少年調査記録の様式について(平成12年6月30日付の最高裁判所家庭局長の通達)
④ 少年事件に関する決定書等の写しの送付について(平成13年4月27日付の最高裁判所家庭局長通達)
*2 法務省法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会は,平成29年3月16日に第1回会議を開催しました。
*3 法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会第4回会議配布資料として,「微罪処分・簡易送致関係資料」,「家庭裁判所における少年審判手続について」及び「家庭裁判所調査官の業務について」が載っています。
第1 捜査機関における加害者の取扱い
第2 家庭裁判所の事件受理の経路
2 少年審判の対象となる非行少年は以下の三つです。
3 少年法3条1項3号イの「保護者の正当な監督に服しない性癖のあること」及びニの「自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること」が過度に広範であり,不明確であるともいえません(最高裁平成20年9月18日決定)。
4 家庭裁判所の事件受理の経路は以下のとおりです。
5 触法少年及び14歳未満のぐ犯少年については,福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならない(児童福祉法25条本文)ことから,都道府県知事又は児童相談所長からの送致が審判条件となります(少年法3条2項)。
6 家庭裁判所調査官は,報告に先立ち,少年及び保護者について,事情を調査することができます(少年法7条2項)。
第3 付添人
第4 家庭裁判所の調査
2(1) 家庭裁判所は,家庭裁判所調査官に命じて,少年,保護者又は参考人の取調べその他の必要な調査を行わせることができます(少年法8条2項)から,社会調査については,家庭裁判所調査官が担当します。
3 家庭裁判所の調査は,なるべく,少年,保護者又は関係人の行状,経歴,素質,環境等について,医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的知識,特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して,これを行うように努めなければなりません(少年法9条)。
4 審判に付すべき少年については,家庭及び保護者の関係,境遇,経歴,教育の程度及び状況,不良化の経過,性行,事件の関係,心身の状況等審判及び処遇上必要な事項の調査を行います(少年審判規則11条1項)。
5 家族及び関係人の経歴,教育の程度,性行及び遺伝関係等についても,できる限り,調査を行います(少年審判規則11条2項)。
6 心身の状況については,なるべく,少年鑑別所で科学的鑑別の方法により検査します(少年審判規則11条3項)。
7 家庭裁判所は,事件の調査又は審判について必要があると認めるときは,少年又は保護者に対して,呼出状を発することができます(少年法11条1項)。
8 家庭裁判所は,正当な理由がなく呼出状による呼出に応じない者に対して,同行状を発することができます(少年法11条2項)。
9 家庭裁判所は,調査及び観察のため,警察官,保護観察官,保護司,児童福祉司又は児童委員に対し,必要な援助をさせることができます(少年法16条1項)。
10 搜査機関は,少年の被疑事件を家庭裁判所に送致した後においても補充捜査をすることができ,家庭裁判所は,事実調査のため,捜査機関に対し,右捜査権限の発動を促し,又は少年法16条の規定に基づいて補充捜査を求めることができます(最高裁平成2年10月24日決定)。
11 少年が非行事実の存在を争っている保護事件においては,その争点について,援助協力の依頼に応じた捜査機関から送付を受けた証拠は,附添人が選任されている場合には,特段の事情のない限り、その証拠の送付を受けた旨を附添人に通知するのが相当であり,附添人が選任されていない場合には,証拠の重要性に応じて,その内容の要点を少年に告げるなど少年に防御の機会を与えるよう配慮した運用が望ましいです(最高裁平成10年4月21日決定)。
12 家庭裁判所は,その職務を行うについて,公務所,公私の団体,学校,病院その他に対して,必要な協力を求めることができます(少年法16条2項)。
13 家庭裁判所は,他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができます(少年審判規則19条の2)。
14 家庭裁判所は,調査の結果,以下のいずれかの措置をとります。
15 「審判に付することができないとき」には以下の3種類があります。
16 「審判に付するのが相当でないとき」には以下の3種類があります。
第5 観護措置
2 観護措置には以下の2種類があります。
3 2号観護措置をとるに際しては,裁判長は,少年に対し,あらかじめ,供述を強いられることはないこと及び付添人を選任することができることを分かりやすく説明した上,審判に付すべき事由の要旨を告げ、これについて陳述する機会を与える必要があります(少年審判規則19条の3)。
4 司法警察員又は検察官から身柄付で送致された事件の場合,家庭裁判所は,事件の受理時に観護措置決定を出すことが多いです(少年法17条2項後段参照)。
5 少年鑑別所は,観護措置決定を受けた少年を収容し,行動を観察しつつ心身の鑑別を行うための施設であって(少年院法16条参照),収容期間は原則として2週間であります(少年法17条3項本文)。
6 少年法17条1項に定める観護の措置は審判を行うためのものであることに照らすと,家庭裁判所は,抗告裁判所から差戻しを受けた事件が先に同項2号の観護の措置が採られたものであったとしても,右事件については,更に審判をしなければならないのであるから,その審判を行うため必要があるときは,同条1項に基づき,同項2号の観護の措置を改めて採ることができ,その場合の少年鑑別所に収容する期間は先に採られた観護の措置の残りの収容期間に限られません(最高裁平成5年11月24日決定)。
7 少年,その法定代理人又は付添人は,2号観護措置決定又は更新の決定に対し,保護事件の係属する家庭裁判所に異議の申立てをすることができます(少年法17条の2第1項)。
8 少年法17条の2及び17条の3は,平成12年12月6日法律第142号(平成13年4月1日施行)により設けられた条文です。
第6 少年審判
2 少年審判は,刑事訴訟のような対立当事者を持たない審問的構造であり,裁判官が主催して職権的に進められるものであり,原則として1人の裁判官が担当します。
3 少年審判とは,家庭裁判所の裁判官によって,審判期日に,審判廷で行われる審理手続をいいます。
4 検察官関与決定があった場合,検察官も少年審判に出席します(少年審判規則30条の6)。
5 少年審判は非公開です(少年法22条2項)。
6 少年審判は,訴訟の弁論のような形を取らず,裁判官が中心となり,関係者の協力を得て,懇切かつ和やかなうちに,少年に対し自己の非行について内政を促すものとするため,厳粛な雰囲気の中で行われます(少年法22条1項参照)。
7 家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があるときは,決定をもって,相当の期間,家庭裁判所調査官の観察に付することができます(少年法25条1項。試験観察)。
8 家庭裁判所は必要があると認めるときは,保護者に対し,少年の監護に関する責任を自覚させ,その非行を防止するため,調査又は審判において,自ら訓戒,指導その他適当な措置をとり,又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができます(少年法25条の2)。
9 ①家庭裁判所の審判に付された少年,及び②少年のとき犯した罪により起訴された者については,氏名,年齢,職業,住居,容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはなりません(少年法61条)。
10 少年法61条に違反する推知報道かどうかは,その記事等により,不特定多数の一般人がその者を当該事件の本人であると推知することができるかどうかを基準にして判断されます(最高裁平成15年3月14日判決)。
第7 少年審判後の終局処分
2 家庭裁判所は,決定の時に14歳に満たない少年に係る事件については,特に必要と認める場合に限り,少年院送致決定を出すことができます(少年法24条1項ただし書)。
3 少年保護事件における非行事実の認定に関する証拠調べの範囲,限度,方法の決定は,家庭裁判所の完全な自由裁量に属するものではなく,その合理的な裁量にゆだねられたものです(最高裁平成17年3月30日決定。なお,先例として,最高裁昭和58年10月26日決定)。
第8 少年事件の補償
2 非行事実が認められないことを理由として少年法23条2項による保護処分に付さない旨の決定があった場合において,国が右決定を受けた者に対して身体の自由の拘束による補償をしなくても憲法40条,29条3項及び14条に違反しません(最高裁平成4年7月15日決定。なお,先例として,最高裁平成3年3月29日決定参照)。
3 少年の保護事件に関する手続が専ら少年の保護を目的として行われる利益処分であるとはいえ,非行が認められなかった場合に,身体の自由の拘束等が結果的には少年にとって理由のない不利益を与えたこととなることは否定しがたいところであります。
第9 少年院(旧少年法によるもの)
2 初等少年院は,小学校及び中学校で必要とする教科,並びに職業の補導,適当な訓練及び医療を授けます(少年院法4条1項1号)。
3 平成19年6月1日法律第68号(平成19年11月1日施行)による改正前の少年院法では,初等少年院は,おおむね14歳以上おおむね16歳未満の者を収容していました。
第10 保護処分の決定に対する抗告
2 抗告審としては,抗告事件を受理した後は,抗告提起期間内であると否とにかかわりなく,いつでも裁判をすることができ,抗告提起期間内はこれを差し控えなければならないものではありません(最高裁平成9年10月6日決定)。
3 原審における付添人ではなく,また,抗告申立てをした時点で付添人選任届を提出していない弁護士がした抗告申立ては不適法であり,抗告申立期間経過後に同弁護士を付添人に選任する旨の届出が追加提出されたとしても,これにより当該抗告申立てが適法となるものではありません(最高裁平成24年5月1日決定参照)。
4 抗告をするには,申立書を原裁判所である家庭裁判所に差し出します(少年審判規則43条1項)。
5 抗告裁判所は,決定をするについて必要があるときは,事実の取調べをすることができます(少年法32条の3第1項)。
6 検察官関与決定があった場合において,検察官は,不処分決定等について,決定に影響を及ぼす法令の違反,重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り,高等裁判所に対し,2週間以内に,抗告受理の申立てをすることがあります(少年法32条の4)。
7 抗告裁判所による事実の取調べも,少年保護事件の抗告審としての性質を踏まえ,合理的な裁量により行われるべきものです(最高裁平成17年3月30日決定)。
8 抗告裁判所は,抗告が理由のあるとき,決定をもって,家庭裁判所の保護処分の決定を取り消した上で,事件を家庭裁判所に差し戻したり,他の家庭裁判所に移送したりします(少年法33条2項)。
9 家庭裁判所のした保護処分決定に対する少年側からの抗告に基づき,右決定が取り消された場合には,当該事件を少年法20条により検察官に送致することは許されません(最高裁平成9年9月18日判決)。
10 抗告は,原則として,保護処分の執行を停止しません(少年法34条)。
11 抗告裁判所のした決定に対しては,憲法違反等を理由とする場合に限り,少年,その法定代理人又は付添人は,2週間以内に,最高裁判所に対し,再抗告をすることができます(少年法35条1項)。
12 最高裁判所は,少年の再抗告事件において,原決定に少年法35条1項所定の事由が認められない場合でも,同法32条所定の事由があって,これを取り消さなければ著しく正義に反すると認められるときは,職権により原決定を取り消すことができます(最高裁平成20年7月11日決定。なお,先例として,最高裁昭和58年9月5日決定参照)。
第11 保護処分取消事件
2 少年法27条の2第1項は,保護処分の決定の確定した後に処分の基礎とされた非行事実の不存在が明らかにされた少年を将来に向かって保護処分から解放する手続等を規定したものであって,同項による保護処分の取消しは,保護処分が現に継続中である場合に限り許され,少年の名誉の回復を目的とするものではありません(最高裁平成7年2月13日決定。なお,先例として,最高裁昭和58年9月5日決定,最高裁昭和59年9月18日決定,最高裁平成3年5月8日決定参照)。
3 家庭裁判所は,保護処分が終了した後においても,本人が生存している限り,審判に付すべき事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認めうる明らかな資料を明らかに発見したときは,決定をもって,保護処分を取り消す必要があります(少年法27条の2第2項)。
4 少年法27条の2第2項の「審判に付すべき事由」とは,保護処分決定で認定された非行事実と事実の同一性があり,構成要件的評価が変わらない事実をも含むものと解するのが相当であるから,保護処分決定で認定された非行事実について,犯行日とされた日にその非行事実が認められないにしても,これと異なる日に同一内容の非行事実が認められ,両事実が両立しない関係にあって基本的事実関係において同一であり,事実の同一性が認められる場合には,審判に付すべき事由は存在したということができ,同条項により保護処分を取り消さなければならないときには当たりません(最高裁平成23年12月19日決定)。
5 保護処分の著しい不当は,保護処分取消の理由にはなり得ません。
6 保護観察所,児童自立支援施設,児童養護施設又は少年院の長は,保護処分の継続中の者について,保護処分取消事由があることを疑うに足りる資料を発見したときは,保護処分をした家庭裁判所に,その旨を通知しなければなりません(少年法27条の2第3項)。
第12 少年審判における一事不再理効
2 家庭裁判所において審判不開始決定がなされた事実について,その少年が成人に達する前に公訴を提起することは許されません。
3 少年法46条は,罪を犯した少年に対して同法24条1項の保護処分がなされたときは,その審判を経た事件について刑事訴追をし,又は審判に付することができない旨を規定しています。
4 家庭裁判所の不処分決定(少年法23条2項)は,刑訴法上の手続とは性質を異にする少年審判の手続における決定でありますところ,右決定を経た事件について,刑事訴追をし,又は家庭裁判所の審判に付することを妨げる効力はありません(最高裁平成3年3月29日決定)。
第13 検察官送致決定
2 法定刑として罰金以下の刑だけしか定められていない犯罪については,家庭裁判所は,検察官送致決定を出すことはできません。
3 平成12年12月6日法律第142号(平成13年4月1日施行)による少年法の改正により,①14歳又は15歳の少年についても,家庭裁判所の調査の結果,刑事処分を相当と認めるときは,検送することができるようになりました(少年法20条1項)。
4 少年法20条による検察官送致決定に対しては,特別抗告をすることはできません(最高裁平成17年8月23日決定)。
5 刑事処分を相当とすべき場合には,以下の2種類があります。
6 検察官は,家庭裁判所から送致を受けた事件について,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは,原則として起訴しなければなりません(少年法45条5号)。
7 少年法20条に基づく検察官送致決定がないにもかかわらず少年が起訴された場合,刑訴法338条4号に基づき,公訴棄却判決が下されます(最高裁平成19年12月13日判決)。
第14 少年の刑事事件における少年に対する処分の特則(平成26年改正前の取扱い)
2 裁判所は,罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては,無期刑をもって処断すべきときであっても,有期の懲役又は禁錮を科することができます(少年法51条2項前段)。
3 裁判所は,少年に対して長期3年以上の有期の懲役又は禁錮をもって処断すべき時は,その刑の範囲内において,長期と短期を定めてこれを言い渡します(少年法52条1項)。
4 2号観護措置がとられた場合においては,少年鑑別所に収容中の日数は,未決勾留日数とみなされます(少年法53条)。
5 少年に対しては,労役場留置の言渡しをしません(少年法54条)。
6 地方裁判所又は簡易裁判所は,事実審理の結果,少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは,決定をもって,事件を家庭裁判所に移送しなければなりません(少年法55条)。
7 懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年に対しては,特に設けた刑事施設又は刑事施設若しくは留置施設内の特に分界を設けた場所において,その刑を執行し(少年法56条1項),本人が満20歳に達した後でも,満26歳に達するまでは,この取扱いが継続します(少年法56条2項)。
8 懲役又は禁錮の言渡しを受けた16歳に満たない少年に対しては,16歳に達するまでの間,少年院において,その刑を執行されることがあり(少年法56条3項),少年院収容受刑者といわれます(少年院法1条)。
9 少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者については,以下の期間が経過した後,仮釈放されることがあります(少年法58条)。
10 少年の時犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終わり,又は執行の免除を受けた者は,人の資格に関する法令の適用については,将来に向かって刑の言渡しを受けなかったものとみなされます(少年法60条1項)。
第15 少年法改正の経過
0 総論
法務省HPの「少年法改正の経過」にあるとおり,平成12年法律第142号,平成19年法律第68号,平成20年法律第71号及び平成26年法律第23号により,少年法の改正がされてきました。
1 平成13年4月1日施行の改正少年法の内容
最高裁HPの「平成12年改正少年法の運用の概況」及び法務省HPの「少年法等の一部を改正する法律の概要」によれば,以下のとおりです。
① 少年事件の処分等のあり方の見直し
・ 少年法における年齢区分の見直し(少年法20条1項,56条3項)
・ 凶悪重大犯罪を犯した少年に対する処分の在り方の見直し(少年法20条2項,51条2項,58条2項)
・ 保護者の責任の明確化(少年法25条の2)
・ 審判の方式(少年法22条1項)
② 事実認定手続の一層の適正化
・ 裁定合議制度(裁判所法31条の4第2項)
・ 検察官及び弁護士である付添人が関与した審理の導入(少年法22条の3第1項)
・ 抗告受理申立制度(少年法32条の4)
・ 観護措置期間の延長(少年法17条4項)
・ 保護処分終了後における救済手続の整備(少年法27条の2第2項)
③ 被害者への配慮の充実
・ 被害者等の申出による意見の聴取(少年法9条の2)
・ 被害者通知制度(少年法31条の2第1項)
・ 被害者等による記録の閲覧・謄写(少年法5条の2第1項)
2 平成19年11月1日施行の改正少年法
① いわゆる触法少年及び虞犯少年に係る事件の調査
・ 警察官等の調査(少年法6条の2)
・ 調査における付添人(少年法6条の3)
・ 呼出し,質問,報告の要求(少年法6条の4)
・ 押収,捜索,検証,鑑定嘱託(少年法6条の5)
・ 警察官の送致等(少年法6条の6)
・ 都道府県知事又は児童相談所長の送致(少年法6条の7)
② 14歳未満の少年の少年院送致(少年法24条1項ただし書)
③ 保護観察中の者に対する措置
・ 一定の場合,決定をもって,児童自立支援施設若しくは児童養護施設又は少年院送致の保護処分とすること(少年法26条の4)
④ 裁量的な国選付添人制度
・ 死刑,無期若しくは短期2年以上の懲役・禁錮,又は故意犯の死亡結果につき,「裁量的に」国選付添人を付すること(少年法22条の3第2項)
3 平成20年12月15日施行の改正少年法の内容(ただし,一部は平成20年7月8日施行)
法務省HPの「平成20年の少年法改正に関するポイント Q&A」によれば,以下のとおりです。
① 被害者等の少年審判の傍聴
・ 家庭裁判所は,殺人事件等一定の重大事件の被害者等から申出がある場合に,少年の年齢や心身の状態等の事情を考慮して,少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは,少年審判の傍聴を許すことができる制度を創設しました(少年法22条の4)。
② 被害者等に対する説明
・ 家庭裁判所が被害者等に対し審判の状況を説明する制度を創設しました(少年法22条の6)。
③ 被害者等による閲覧・謄写となる記録の範囲の拡大
・ 被害者等には,原則として,記録の閲覧・謄写を認めることとするとともに,閲覧・謄写の対象となる記録の範囲を拡大し,非行事実に係る部分以外の一定の記録についても,その対象となりました(少年法5条の2第1項)。
④ 被害者等の申出による意見の聴取の対象者の範囲の拡大
・ 被害者等の申出による意見の聴取の対象者を拡大し,被害者の心身に重大な故障がある場合に,被害者に代わり,被害者の配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹が意見を述べることができることとなりました(少年法9条の2)。
・ ④については,平成20年7月8日から施行されています。
4 平成26年6月18日施行の改正少年法
法務省HPの「少年法の一部を改正する法律に関するQ&A参照」によれば,以下のとおりです。
① 少年審判手続に付された少年に対して,弁護士である国選付添人を付することができる事件の範囲の拡大
・ 裁量的な国選付添人対象事件が死刑,無期又は長期3年を超える懲役・禁錮となりました(少年法22条の3第2項)。
② 少年審判手続に検察官が関与することができる事件の範囲の拡大
・ 検察官関与決定の対象事件が死刑,無期又は長期3年を超える懲役・禁錮となりました(少年法22条の2第1項)。
③ 少年の刑事事件に関する処分の規定の見直し
・ 不定期刑を科すこととなる対象事件の範囲について,処断刑が「長期3年以上の有期の懲役又は禁錮」である場合から,処断刑が「有期の懲役又は禁錮」である場合に拡大しました(少年法52条1項前段)。
・ 不定期刑の長期と短期との幅について,一定の制限を設けられました(少年法52条1項前段)。
・ 不定期刑の長期と短期の上限について,改正前の少年法では長期は10年,短期は5年とされていたのを,長期は15年,短期は10年に引き上げられました(少年法52条1項後段)。
・ 不定期刑の短期について,一定の場合には処断刑の下限を下回る期間を定めることができるようにされました(少年法52条2項)。
2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。