文書送付嘱託

第0 目次

第1   総論
第2   文書送付嘱託の手続
第3の1 診療記録等の文書送付嘱託
第3の2 診療記録等の記載内容
第3の3 入院診療計画書,退院療養計画書,診療情報提供書及び退院証明書
第4の1 刑事記録の文書送付嘱託
第4の2 民事裁判所から不起訴事件記録の文書送付嘱託等がなされた場合の取扱い
第5   労働基準監督署に対する文書送付嘱託
第6   文書送付嘱託に応じないように働きかけることはできないこと
第7の1 診療記録等を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法
第7の2 労働基準監督署が作成した労災保険の書類を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法
第7の3 介護記録を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法
第8   証人等目録への記載

*1 「文書提出命令」「交通事故事件の刑事記録の入手方法」及び「民事訴訟記録の編成」も参照して下さい。
*2 山口地裁HPに「文書送付嘱託申立書」が載っています。
*3 東弁リブラ2008年10月号「民事訴訟における証拠収集手続-文書送付嘱託,文書提出命令を中心に-モデル書式付き」が載っています。
*4 厚生労働省HPの「保険診療における指導・監査」「保険診療の理解のために【医科】(平成30年度)」「保険診療の理解のために【医科】」(スライド資料)等が載っています。
*5 診療記録等の記載方法については,東京都衛生局病院事業部が発行している,「都立病院における診療録等記載マニュアル(平成13年2月)」が非常に参考になります。
*6 日本看護協会HP「看護記録に関する指針」が載っています。
*7 東京地方裁判所民事部プラクティス委員会が平成19年11月7日付で作成した「文書送付嘱託関係のモデル書式について(案)」を掲載しています。

第1 総論

1(1) 文書送付嘱託というのは,裁判所が,当事者からの申立てにより,文書の所持者に対し,文書の送付を嘱託する手続であり(民事訴訟法226条),裁判所に送付された文書については,相手方にも閲覧・謄写の機会を与えられます。
(2) 文書送付嘱託は文書提出命令とは別個独立の制度ですから,文書提出義務を負う者に対して文書送付嘱託の申立てをすることも許されます。
   つまり,文書送付嘱託は文書提出義務を負っていない者に対してだけでなく,文書提出義務を負っている者に対しても用いることができます。
   ただし,当事者が法令の規定に基づき,文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合,文書送付嘱託の申立ては利用できません(民事訴訟法226条ただし書)。

2 文書の所持者から強制的に文書を提出させるためには,文書提出命令(民事訴訟法223条)を利用する必要があります。
   しかし,文書提出命令に対して即時抗告された場合,訴訟記録が抗告審に送付されてしまう結果,基本事件の審理が一ヶ月以上ストップしていまいます。
   また,裁判所から文書送付嘱託があった場合,特段の事情がない限り,医療機関等の嘱託先はすんなり文書を提出してくれます。
   そのため,文書提出命令よりも文書送付嘱託を利用することの方が遙かに多いです。
 
3 裁判所が官庁・その他の団体に対して行う,民事訴訟法186条や家事審判規則8条に基づく調査嘱託,民事訴訟法226条に基づく送付嘱託,刑事訴訟法279条や医療観察法24条3項に基づく照会,家庭裁判所調査官が行う家事審判規則7条の2に基づく事実の調査等については,「法令に基づく場合」として,あらかじめ本人の同意を得なくても,個人情報を第三者に提供できることとされています「裁判所における個人情報保護に関する問題事例について」(平成18年7月4日付の最高裁判所事務総局総務局第一課文書総合調整係の依頼)参照)。

4 受訴裁判所が属する裁判所に保管中の訴訟記録については,同じ裁判所内の記録ですから文書送付嘱託の申立てをする必要はなく,記録取寄せの申請を行えばいいです。

5 家事事件手続法258条1項・64条1項において民事訴訟法の証拠調べの規定が準用されていますから,家事調停及び家事審判においても,文書送付嘱託を利用することができます。

6(1) 民事訴訟法226条は,「書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。ただし、当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。」と定めています。
   そのため,文書の所持者である個人に対して文書送付嘱託をすることはできます。
(2) 調査嘱託に関する民事訴訟法186条は,「裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。」と定めています。
   そのため,個人に対して調査嘱託をすることはできません。

7(1)ア 文書送付嘱託に対する回答書は,裁判所が期日に提示するという手続をとりますものの,それだけでは証拠になりません。
   そのため,当事者が回答書のコピーを書証化して提出する必要があります。
イ 調査嘱託に対する回答書は,裁判所が期日に顕出するだけで証拠になります。
   そのため,当事者が回答書のコピーを書証化して提出する必要はありません。
(2)ア 文書送付嘱託の場合,申立人がコピーを書証化して提出しますから,相手方としては,申立人が提出したコピーについて,嘱託先からの送付文書と一致しているかどうかを確認すれば足ります。
イ 調査嘱託の場合,申立人がコピーを書証化して提出するわけではありませんから,相手方としては,その内容を確認するためには自分で調査嘱託に対する回答書を裁判所でコピーする必要があります。

8 平成26年6月10日付の司法行政文書不開示通知書によれば,以下の文書は存在しません。
① 裁判所の事件記録に対し,弁護士会照会がされた場合の対応方法について書いてある文書
② 裁判所の事件記録に対し,民事事件の受訴裁判所の調査嘱託がされた場合の対応方法について書いてある文書
③ 裁判所の事件記録に対し,刑事事件の受訴裁判所の公務所照会がされた場合の対応方法について書いてある文書

第2 文書送付嘱託の手続

1 文書送付嘱託の申立てをする場合,以下の事項を記載します(民事訴訟法221条1項,民事訴訟規則99条1項参照)。
① 文書の表示
② 文書の所持者
③ 証明すべき事実 

2(1) 申立手数料は不要ですから収入印紙を貼付する必要はありません。
(2)ア 裁判所と文書の所持者との間のやりとりに必要な切手を納付する必要がありますから,その限度で費用がかかります。
   ただし,訴訟が終了した後に余った切手を返してもらえます。
イ   消費税が10%になった令和元年10月1日以降についていえば,大阪地裁の場合,500円1枚,320円1枚,100円5枚,84円5枚,20円5枚,10円1枚,5円1枚,2円2枚の合計1829円の切手を納付する必要があります。

3(1) 文書送付嘱託の申立書は相手方に副本を直送する必要があり(民事訴訟規則99条2項),裁判所が相手方の意見を電話等で確認します。
   相手方が採用に反対する場合,書面で意見書を提出してくることが多いです。
(2) 相手方が採用に反対しない場合,期日間の電話により,又は期日に口頭で,「しかるべく」という意見を述べることが多いです。

4 文章送付嘱託の申立ては期日に採用されるかどうかが決まることもあれば,期日外に採用されるかどうかが決まることがあります。

5 裁判所が嘱託先に送付する文書送付嘱託の書面には,送付嘱託の具体的理由は通常,記載されていません。
   そのため,嘱託先が,文書送付嘱託の申立てをした代理人弁護士に対し,送付嘱託の具体的理由を問い合わせてくることがあります。

6 嘱託文書が裁判所に届いた場合,裁判所から代理人弁護士に対し,電話等で到着した旨の連絡があります。
   そして,その後の期日で,嘱託文書が提示されますものの,証拠とするためには,当事者が嘱託文書をコピーした上で,それを書証として提出する必要があります。

第3の1 診療記録等の文書送付嘱託

1 診療録及び診療記録等の定義,及びカルテの意味
(1) 日本医師会作成の「診療情報の提供に関する指針(第2版)」(平成14年10月1日付)は,以下のとおり定義しています。
1.診療情報
   診療の過程で、患者の身体状況、病状、治療等について、医師またはその指揮・監督下にある医療従事者が知り得た情報
2.診療録
   医師法第24条所定の文書
3.診療記録等
   診療録、手術記録、麻酔記録、各種検査記録、検査成績表、エックス線写真、助産録、看護記録、その他、診療の過程で患者の身体状況、病状等について作成、記録された書面、画像等の一切
(2) 医師法24条は以下のとおりです。
1 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
(3) 診療録は「カルテ」ともいいますところ,狭義の診療録(カルテ)は医師が作成した記録だけをいう(医師法24条1項)のに対し,広義の診療録(カルテ)は診療に関する記録全般をいいます。
   日常用語における診療録(カルテ)は広義の診療録(カルテ)となります。
(4) SOAP(そーぷ)方式で広義の診療録が作成されている場合,S(Subject)は主観的データ(患者の話や病歴等)であり,O(Object)は客観的データ(身体診察・検査から得られた情報)であり,A(Assessment)はSとOの情報の評価であり,P(Plan)はSとOとAを元にした治療方針です(看護roo HP「SOAPとは・・・」参照)。
(5)ア できる研修医のつくり方HP「2.はじめてのカルテ作成」が載っています。
イ カルテを作成する場合,SOPAの他,DSIRという4つの要点をしっかり押さえる必要があるとのことです。
   DSIRは,Diagonsis(診断),Story(ストーリー),Indicator(評価指標)及びReminder(注意点)の頭文字です。

2 文書送付嘱託の対象としての診療記録等
(1) 診療記録等を甲号証として提出せずに訴訟提起した場合,被告訴訟代理人弁護士が文書送付嘱託の申立てをすることで,診療記録等の写しが裁判所に送付されることとなります。
   また,診療記録等を甲号証として提出して訴訟提起した場合であっても,診療記録等が一部抜かれた状態で裁判所に提出された可能性があるということで,被告訴訟代理人弁護士が文書送付嘱託の申立てをしてくることがあります。
(2) 医療機関との関係で患者となる原告の場合,自分で診療記録を取り寄せることができること(「初診時の留意点,公的医療保険,診療録及びレセプト」参照)にかんがみ,民事訴訟法226条ただし書との関係で,原告が文書送付嘱託を利用する必要はないと判断する裁判官もいます。
(3) 過去の既往症が事故に基づく症状に影響していると考えられる場合において,被害者が事故日以前の初診日からの診療記録等の文書送付嘱託に同意しなかったとしても,当該診療記録等について医師が職務上知り得た事実で黙秘すべきものと認めてもらえない限り(民事訴訟法220条4号ハ・197条2号参照),最終的には,裁判所の文書提出命令(民事訴訟法223条)によって証拠として提出されることになります。

3 診療記録等の保管義務
(1) 病院は医療法21条1項9号に基づき,地域医療支援病院は医療法22条2号に基づき,特定機能病院は医療法22条の2第3号に基づき,臨床研究中核病院は医療法22条の3第3合に基づき,診療記録等を保管しておかなければなりません。
(2)ア 診療記録等の保管期間は,療養完結の日から5年です(医師法24条2項のほか,保険医療機関及び保険医療養担当規則9条ただし書)。
イ 厚生労働省HPの「第9回医療情報ネットワーク基盤検討会」(平成16年6月24日)「法令上作成保存が求められている文書」に,医師,歯科医師,薬剤師等が保存すべき書類及びその保存期間等が載っています。

4 文書送付嘱託の申立てをする場合,画像記録は省略されることがあること等
   レントゲン,CT,MRI等の画像記録を送付してもらった場合,1枚当たり540円ぐらいかかる反面,必ずしも画像記録まで必要となるわけではありません。
   また,とりあえず文書としての診療記録だけを取り寄せた上で,画像記録については文書としての診療記録に基づき個別に取り寄せることで足りる場合が多いです。
   そのため,文書送付嘱託の申立てをする場合,画像記録は省略されることがあります。

5 患者の同意書が必要となる場合があること等
(1)   東弁リブラ2013年8月号「東京地裁書記官に訊く-交通部編-」(末尾10頁)には「同意書の提出等」として以下の記載があります(医療記録=診療記録等と思います。)。
   医療機関を嘱託先とする医療記録の送付嘱託に際し,当該医療機関が同意書(患者本人又は遺族が送付嘱託に同意する旨の書面。書式例【別紙7】)を要求する場合があります。当部の取扱いとしては,医療機関から同意書の要求があれば,申立人側又は患者側に同意書を裁判所に送付するよう依頼しています。医療記録は,交通事故の当事者からすると第三者である医師等が受診当時の診療経過等を記録したもので重要な資料であり,また,患者にとっても有利な事実が記載されていることもありますので,迅速な同意書の作成に協力してください。
(2) 渡辺健寿法律事務所HP「診療記録につき外部からの照会」には,③弁護士会からの照会については守秘義務との権衡を考えた上で回答するか否かを判断する必要があるものの,①訴訟提起前の証拠保全手続による開示要求,②訴訟提起後の裁判所からの照会(文書送付嘱託及び調査嘱託)及び④刑事手続における捜査資料としての照会,開示要求(捜査関係事項照会)については特段の事情がない限り照会に応じるべきという趣旨のことが書いてあります。

6 診療記録等の作成費用の負担者
(1)ア 大阪地裁15民(交通部)の場合,医療機関を嘱託先とする場合には,原則として,送付文書を写しにより送付するよう依頼し,その作成費用を申立人の負担とする取扱いがされています。
   また,相手方代理人弁護士の同意がある場合,送付嘱託の申立人代理人弁護士に対し,送付文書を交付する(預ける)という方式(いわゆる「交付方式」)が採用されています。
イ 東弁リブラ2013年8月号「東京地裁書記官に訊く-交通部編-」(末尾10頁)の「申立代理人への送付文書の交付」を見る限り,東京地裁27民(交通部)でも同様の取扱いがされているみたいです。
(2) 東弁リブラ2008年10月号「民事訴訟における証拠収集手続-文書送付嘱託,文書提出命令を中心に-モデル書式付き」の末尾10頁には以下の記載があります。
   調査嘱託の場合には,そのような費用は証拠調べ手続のために要する費用であると解されるが,文書送付嘱託の場合には,原本の送付が前提であるから,裁判所として写しを作成する費用を負担することはできない。したがって,そのような連絡があった場合には,嘱託先にその旨を説明するとともに,申立代理人に連絡した上,嘱託先から直接,申立代理人に対して写しの作成費用を請求するように連絡していることが少なくないようである。

7 カルテ翻訳
(1)ア 加害者の代理人弁護士は,文書送付嘱託で取り寄せたカルテ(特に,手書きのカルテ)を対象として,スキャナで取り込んだ上で,癖のある医学用語,略語,読みにくい日本文字の部分について,活字の日本語を書き添えるというカルテ翻訳を行うことがあります。
イ ここでいうカルテは,広義の診療録のことです。
(2) 謄写翻訳事務所HP「カルテ翻訳(判訳)」とか,メディカルリサーチHP「医療相談・意見書作成の料金体系」とかに,カルテ翻訳の料金が載っています。
   少なくとも1枚当たり1000円はかかるみたいです。

第3の2 診療記録等の記載内容

1 医師法施行規則23条に基づく診療録の記載事項
   医師法施行規則23条は,診療録の記載事項を以下のとおりとしています。
① 診療を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢
② 病名及び主要症状
③ 治療方法(処方及び処置)
④ 診療の年月日

2 保険医療機関及び保険医療養担当規則に基づく診療記録等の記載事項
(1) 保険医療機関及び保険医療養担当規則の略称は「療養担当規則」でありますところ,
   8条は「保険医療機関は、第二十二条の規定による診療録に療養の給付の担当に関し必要な事項を記載し、これを他の診療録と区別して整備しなければならない。」であり,
   22条(診療録の記載)は「保険医は、患者の診療を行つた場合には、遅滞なく、様式第一号又はこれに準ずる様式の診療録に、当該診療に関し必要な事項を記載しなければならない。」です。
(2) 療養担当規則様式第1号(1)は医師の診療録に関するものであり,療養担当規則様式第1号(2)は歯科医師の診療録に関するものです。
(3)ア 療養担当規則様式第1号(1)の1は,
   「受診者」欄において,「氏名,生年月日,性別,住所,職業,被保険者との続柄」の記載を求め,
   「被保険者証」欄において,「保険者番号,被保険者証及び被保険者手帳の記号・番号,有効期限,被保険者氏名,資格取得,事業所(船舶所有者)所在地・名称,保険者所在地・名称」の記載を求め,
   「傷病名」欄において,「傷病名,職務上・外の区分,開始,終了,転帰,期間満了予定日,労務不能に関する意見(意見書に記入した労務不能期間,意見書交付),入院期間,業務災害又は通勤災害の疑いがある場合はその旨の記載」の記載を求め,
   「備考」欄において,「備考」の記載を求め,
   「公費負担番号」欄において,「第1公費及び第2公費の公費負担番号,公費負担医療の受給者番号」の記載を求めています。
イ 療担規則様式第1号(1)の2は,「既往症・原因・主要症状・経過等」欄及び「処方・手術・処置等」欄の記載を求めています。
ウ 療担規則様式第1号(1)の3は,「診療の点数等」欄の記載を求めています。
エ 公費負担医療の根拠法としては,生活保護法,障害者総合支援法,母子保健法,感染症法及び精神保健福祉法があります。
(4) 診療記録等の記載方法については,東京都衛生局病院事業部が発行している,「都立病院における診療録等記載マニュアル(平成13年2月)」が非常に参考になります。

療養担当規則第1号(1)の1
療養担当規則第1号(1)の2
療養担当規則第1号(1)の3
療養担当規則様式第2号(処方せん)

第3の3 入院診療計画書,退院療養計画書,診療情報提供書及び退院証明書

1 入院診療計画書
・ 医療法6条の4第1項に基づく書類であり,病院に作成義務があります。
・ できる研修医のつくり方HP「1.はじめての入院業務」が載っています。
・ 基本診療料の施設基準等(平成30年3月5日厚生労働省告示第44号)に基づく「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(PDF23頁)には以下の記載があります。
   入院の際に、医師、看護師、その他必要に応じ関係職種が共同して総合的な診療計画を策定し、患者に対し、別添6の別紙2又は別紙2の3を参考として、文書により病名、症状、治療計画、検査内容及び日程、手術内容及び日程、推定される入院期間等について、入院後7日以内に説明を行うこと。ただし、高齢者医療確保法の規定による療養の給付を提供する場合の療養病棟における入院診療計画については、別添6の別紙2の2を参考にすること。なお、当該様式にかかわらず、入院中から退院後の生活がイメージできるような内容であり、年月日、経過、達成目標、日ごとの治療、処置、検査、活動・安静度、リハビリ、食事、清潔、排泄、特別な栄養管理の必要性の有無、教育・指導(栄養・服薬)・説明、退院後の治療計画、退院後の療養上の留意点が電子カルテなどに組み込まれ、これらを活用し、患者に対し、文書により説明が行われている場合には、各保険医療機関が使用している様式で差し支えない。

2 退院療養計画書
・ 医療法6条の4第3項に基づく書類であり,病院には作成の努力義務があります。
・ できる研修医のつくり方HP「7.はじめての退院業務」が載っています。
・ 病院又は診療所の管理者は,患者の退院時に,退院後の療養に必要な保健医療サービス又は福祉サービスに関する事項を記載した書面の作成,交付及び適切な説明が行われるよう努めなければなりません(厚生労働省HPの「医療法改正の概要(平成18年6月公布,㍻19年4月施行)」参照)。

3 診療情報提供書
・ 医療法1条の4第3項のほか,保険医療機関及び保険医療養担当規則2条の2,16条及び16条の2に基づく書類です。
・ できる研修医のつくり方HP「6.はじめての紹介状作成」が載っています。
・ 診療情報提供書には,紹介状の情報(患者の氏名・年齢・性別・症状等)に加え,詳細な診療情報が記載されています(関西ろうさい病院HP「「紹介状」または「診療情報提供書」持参のお願い」川本眼科HP「診療情報提供書」参照)。
・ レセプトに「退院時診療情報添付加算200点」が付いている場合,保険医療機関が患者の退院日の属する月又はその翌月に,添付の必要性を認め,患者の同意を得て,別の保険医療機関,精神障害者施設又は介護保険施設に対して,退院後の治療計画,検査結果,画像診断の画像情報等の必要な情報を添付して紹介したことを意味します(精神科医療情報総合サイトeらぽーる「2.診療情報提供料(Ⅰ)の算定要件の見直しと加算の新設」参照)。

4 退院証明書

・ 病院に発行義務はありませんが,普通は無料で発行してくれます(医事ラボHP「退院証明書ってなんだ?保険請求に使える?有料なの?」参照)。
・ 厚生労働省HPの「平成30年度診療報酬改定について」に載っている診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(平成30年3月5日付の保医発0305第1号) 別添1「医科診療報酬点数表に関する事項」18頁に「保険医療機関は、当該患者の退院に際しては、他保険医療機関からの当該患者の入院履歴に係る問い合わせに対し速やかに対応できるよう必要な体制を整えておくこと。 円滑な運用のために別紙様式1又はこれに準ずる様式による文書を退院証明書として患者に渡すことが望ましい。」と書いてあります。
入院診療計画書
退院療養計画書

第4の1 刑事記録の文書送付嘱託

1 東京地裁民事第27部(交通部)の場合,交通に関する事件の専門部であることから,病院等の医療機関を嘱託先とする医療記録(レントゲン写真等を含む。)の送付嘱託,検察庁を嘱託先とする刑事事件記録等の送付嘱託の申立てが非常に多くされます。
   東京地裁27民としては,事故態様や過失割合が争点となることが予想される場合,第1回口頭弁論期日前の事前準備として,原告に対し,刑事事件記録の入手の有無を確認した上で,入手していないときは,その送付嘱託の申立てを促し,期日外に裁判官の判断により,採用して嘱託を行うなどして審理の促進を図ることとしています(東弁リブラ2013年8月号「東京地裁書記官に訊く-交通部編-」8頁)。

2 不起訴事件の供述調書については,裁判所の文書送付嘱託を利用する必要があるものの,不起訴事件の実況見分調書等及び刑事確定記録については,裁判所の文書送付嘱託を利用しなくても入手できます(「交通事故事件の刑事記録の入手方法」参照)。

3 刑事事件関係書類が法律関係文書(民事訴訟法220条3号)に該当しない限り,文書提出命令を利用することができません(民事訴訟法220条4号ホ参照)。

4 文書送付嘱託により実況見分調書を取り寄せる場合,本文の記載は下記のような感じで書けばいいです。

第1 文書の表示
平成29年10月17日午前10時00分頃,大阪市北区西天満4丁目7番3号で発生した交通事故(当事者は甲野太郎及び乙野次郎)(検番は○○○○○)に関して,大阪府天満警察署が作成した実況見分調書
第2 文書の所持者
〒553-8512
大阪市福島区福島1丁目1-60
大阪地方検察庁 記録担当
第3 立証趣旨
本件事故の状況
第4 関連事情
実況見分調書のカラーコピーを送ってもらえるようにしてもらいたい。

5 「交通事故事件の刑事記録」及び「刑事訴訟記録」も参照して下さい。
現場の見分状況書(簡約特例書式)
実況見分調書1/2(特例書式)
実況見分調書2/2(特例書式)
交通事故現場見取図(特例書式)

第4の2 民事裁判所から不起訴事件記録の文書送付嘱託等がなされた場合の取扱い

○以下の記載は,「被害者等に対する不起訴事件記録の開示について」(平成20年11月19日付の法務省刑事局長依命通達)の該当部分を丸写ししたものです。
○①損害保険料率算出機構,②財団法人交通事故紛争処理センター,③全国共済農業協同組合連合会及び④財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構からの照会については,民事裁判所からなされた不起訴事件記録の文書送付嘱託に関して客観的証拠の送付に応じる場合と同様に取り扱われます。
「交通事故事件の刑事記録の入手方法」も参照して下さい。
○目撃者の特定のための情報提供については,裁判所からの調査嘱託が想定されています。
○通達の要旨は,法務省HPの「不起訴事件記録の開示について」に載ってあります。

1 不起訴事件記録中の客観的証拠の開示 
   被害者等が被害回復のため提起した民事訴訟が係属している裁判所からの文書送付嘱託に対しても,前記第1,2,(4),アにいう必要性が認められる場合,客観的証拠の送付に応じるのが相当である。
   この場合の文書送付嘱託は,被告(被疑者)の申立てによって行われる場合もあるが,民事訴訟において真実を明らかにすることは,被害者等の権利関係の適正な認定に資するものであるから,被害者等である原告の申立てによる場合に準じて取り扱うのが相当である。ただし,民事訴訟記録は,刑事事件記録に比べ,より広く一般人の閲覧が可能である(民事訴訟法第91条及び第9 2条)ので,原告のプライバシー等にかかわる証拠について,原告の同意等を嘱託に応じる条件とすることやその必要性・当事者間の公平性を十分に吟味することも考慮すべきである。
   なお,被害者等であると主張している者が,真の被害者等であるか否か慎重に見極める必要があることや,嫌疑なし又は嫌疑不十分等で不起訴とされた事案であっても,民事的な観点から被害者等の救済が図られるべき場合もあり得ることは,前記第1, 2, (1)と同様である。

2 不起訴事件記録中の供述調書の開示 
   不起訴事件記録中の供述調書について,民事裁判所から文書送付嘱託がなされた場合,開示による弊害を回避しつつも,犯罪被害者等の保護を図るとともに民事訴訟が適切に行われるようにするため,次に掲げる要件をすべて満たす場合には,これを開示するのが相当である。
(1)   民事裁判所から,不起訴事件記録中の特定の者の供述調書について文書送付嘱託がなされた場合であること。
   供述調書の開示については,一般に捜査・公判への支障又は関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあると認められることから,特にその開示の必要性が高い場合である必要があり,民事裁判所からの文書送付嘱託がなされた場合とすべきである。
(2)   当該供述調書の内容が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
   供述調書を開示することが相当と考えられるのは,当該民事訴訟において当該供述調書が必要不可欠な場合であると思われる。そこで,開示すべき供述調書は,第1に,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものである必要がある。「民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点」とは, 例えば,交差点における交通事故において,当事者双方が青色信号を主張している場合の交差点信号機の信号表示状況等のような場合が考えられる。これに対し,民事訴訟において取り調べられた証人の供述の信用性などは,要証事実に対する間接証拠であって,通常は,「重要な争点」には当たらないものと考えられる。第2に,開示すべき供述調書は,その争点に関するほぽ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことのできない場合である必要がある。その争点に関し,他に証拠があり,当該供述調書はこれを単に補強するにすぎないようなときは,これに該当しないと思われる。
(3)   供述者が死亡,所在不明,心身の故障若しくは深刻な記憶喪失等により, 民事訴訟においてその供述を顕出することができない場合であること,又は当該供述調書の内容が供述者の民事裁判所における証言内容と実質的に相反する場合であること。
   供述者が民事訴訟において供述することができる場合には,その供述者の供述調書に代替性が認められるので,これを開示する必要はない。しかし, 供述者が死亡,所在不明,心身の故障又は深刻な記憶喪失等により,民事訴訟において,証人尋問又は当事者尋問で供述できない場合には,その供述者の供述調書を利用する必要性が高い。また,いったん当該供述者を民事訴訟において供述させたものの,当該供述者については刑事事件の捜査において取調べを受け,そこで作成された供述調書には,民事訴訟における供述とは実質的に相反する供述をしている場合には,やはり,その供述調書を利用する必要性が高いと考えられる。そこで,これらの場合には,代替性を欠くものとして取り扱うことが適当と考えられる。
   なお,当該供述調書の内容が,「供述者の民事訴訟における証言内容と実質的に相反する場合」については,民事裁判所があらかじめ供述調書の内容を了知しているわけではないことを考えると,供述調書の内容と証言内容とが実質的に相反すると判断するについて相当の理由がある場合で足りると思われる。逆に,供述調書の内容と証言内容とが相反していれば開示されたい等の模索的な理由によるものは,前記相当の理由があることを明らかにしたとは言えないので,その点の検討が十分に行えるよう,民事裁判所に対し, 十分な情報の提供を要請することが必要である。
(4) 当該供述調書を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は関係者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ,関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるとは認められない場合であること。
   上記載(2)及び(3)に該当する特段の必要性が認められる場合であっても,開示による具体的な支障が生じるおそれがあると認められる場合には,開示は相当ではない。なお,供述調書を開示した場合には,今後の他事件における参考人の事情聴取一般に対するものという抽象的な意味では,支障が生じるおそれは常に認められるのであろうが,そうだとしても,捜査・公判への具体的な支障が認められない場合には,原則として,開示して差し支えないと考えられる。

3 供述調書の開示に関する留意事項について
(1) 開示の可否判断のための情報収集 
   検察官は,通常,前記2,(2)及び(3)の要件に関する情報を有していないことから,民事裁判所から文書送付嘱託がなされた場合において,上記各要件を判断するための具体的な情報が不十分であると認められるときは,民事裁判所に対し,文書送付嘱託に応じるか否かを判断するため,必要な情報の提供を求めることが望ましい。
(2) 開示した供述調書の取扱い 
   民事裁判所の文書送付嘱託に応じて供述調書を開示する場合には,民事訴訟の当事者においても慎重な取扱いが必要である旨を送付書に明記するなど注意喚起した上で送付する。
(3)   マスキング 
   供述調書を開示する場合であっても,一部の記載について,開示することにより関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるなどの支障があるときは,当該部分にマスキングを行うなどの措置を講じる。
(4)   その他 
   捜査中の事件記録又は公判請求した事件の裁判所不提出記録中の供述証拠については,通常,刑事訴訟法第47条の規定により捜査・公判に対する具体的な支障があると考えられ,原則として開示しない扱いとする。
 
4 民事裁判所から目撃者の特定のための情報の提供を求められた場合
(1) 目撃者の特定のための情報の提供の必要性 
   不起訴事件に関して民事訴訟が提起されている場合において,例えば,交通事故の状況を直接目撃した者(以下「目撃者」という。)の証人尋間を実施することが不可欠であるにもかかわらず,民事裁判所及び訴訟当事者において目撃者の特定に関する情報がなく証人尋問を実施することが困難な場合に,裁判所から検察庁に対し,目撃者の特定のための情報の提供を求められる場合がある。
   このような場合において,不起訴事件記録中に,当該目撃者の特定に関する情報があり,かつ,民事裁判所から証人尋問のために必要であるとの理由で,調査の嘱託により照会がなされたときは,証人義務が広く一般に課せられており,民事訴訟における真実解明に資することを考慮すると,相当な範囲で調査の嘱託に協力する必要があると考えられる。
(2)そこで,次に掲げる要件をすべて満たす場合には,当該刑事事件の目撃者の特定に関する情報のうち,氏名及び連絡先を民事裁判所に回答するのが相当である。
ア 民事裁判所から,目撃者の特定のための情報について調査の嘱託がなされた場合であること。
イ 目撃者の証言が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
   「重要な争点」の意義については,前記第2, 2, (2)と同様である。
ウ 目撃者の特定のための情報が,民事裁判所及び当事者に知られていないこと。
   「民事裁判所及び当事者に知られていない」とは,民事訴訟の当事者において,目撃者の存在を把握しているが氏名が不明の場合,目撃者の氏名は判明しているが連絡先が不明の場合,又は目撃者が存在すると認めるに足りる相当の事情があるが,氏名等が不明の場合などがある。
エ 目撃者の特定のための情報を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は目撃者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ, 関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがないと認められる場合であること。
(3)   情報提供についての留意事項 
   検察官は,通常,前記(2),イ及びウの要件に関する情報を有していないことから,民事裁判所から調査の嘱託がなされた場合には,上記各要件を判断するための具体的な事情及びこれに該当する目撃者が存在すると認められる相当な理由が不十分であると認められるときは,民事裁判所に対し,調査の嘱託に応じるか否かを判断するための情報の提供を求めることが望ましい。
   なお,目撃者の連絡先とは,原則として,住所を回答すれば足りる。
(4)   目撃者の情報の取扱い 
   目撃者の連絡先等は,本人のプライバシーに属する情報であるので,裁判所に対して回答する場合は,民事訴訟の当事者においても慎重な取扱いが必要である旨を回答書に明記するなど注意喚起した上で送付する。
被疑者供述調書1/2(特例書式)
被疑者供述調書2/2(特例書式)
被害者供述調書1/2(特例書式)
被害者供述調書2/2(特例書式)

第5 労働基準監督署に対する文書送付嘱託

1 労働基準監督署に対する文書送付嘱託の取り扱いについては,裁判所からの文書送付嘱託等への対応に係る標準事務処理要領(平成27年5月付の厚生労働省労働基準局安全衛生部の文書)に詳しく書いてあります。

2 「裁判所等からの文書提出命令等に関する労基署の取扱い」も参照してください。

第6 文書送付嘱託に応じないように働きかけることはできないこと

1 調査嘱託に関するものではありますが,平成29年5月25日に効力が発生した戒告処分に関する「処分の理由の要旨」として以下の記載があります(自由と正義2017年8月号71頁)。
   そのため,代理人弁護士が嘱託先に対して文書送付嘱託に応じないように嘱託先に働きかけることはリスクを伴います。
 
   被懲戒者は,Aから同人を被告とする離婚等請求訴訟事件を被懲戒者の法律事務所の所属弁護士と共に受任したところ,裁判所がA名義の資産内容に関する調査嘱託を決定し,裁判所書記官が2013年6月17日付けで調査嘱託書を発送すると,同日,Aの代理人弁護士として,上記嘱託先である全26社に対し,上記嘱託先との契約者であるAが契約に関わる一切の情報について裁判所その他の第三者に対して開示することを望んでいないこと,上記情報が開示されたことによるAの不利益が極めて大きいこと,諸事情を踏まえて適正かつ慎重な判断を求める旨が記載された文書を発送し,上記嘱託先に回答しないことを働きかけた。
   被懲戒者の上記行為は,弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき飛行に該当する。

2 私の経験では,全国健康保険協会(いわゆる協会けんぽ)の都道府県支部は,本人の同意がない限り,調査嘱託であっても回答してきません。

3 「弁護士の懲戒」も参照してください。

第7の1 診療記録等を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法

○診療記録等を取り寄せる場合,文書送付嘱託における「文書の表示」は以下のとおり記載します。
   ただし,交通事故とは関係のない内科等の診療記録等は取り寄せたくない場合,「整形外科の診療に際して作成された」という文言を追加しておいた方がいいです。
○患者の外出・外泊の状況も知りたい場合,送付を求める文書として,「外出・外泊の状況が分かる文書」も記載した方がいいです。
○嘱託先の医療機関における患者番号が分かる場合,患者番号も書いた方が親切です。
 
1 事故日から診療記録等の文書のみの送付を求める場合
   下記患者に関する,平成○○年○○月○○日(本件交通事故日)以降に,診療に際して作成,又は取得した診療録(保険医療機関及び保険医療養担当規則22条に基づくものを含む。),手術記録,麻酔記録,各種検査記録,検査成績表,看護記録,入院診療計画書,入院期間中の診療経過の要約,退院療養計画書,退院証明書,診療情報提供書その他一切の書類(ただし,レントゲン,CT,MRI等の画像記録は除く。)

患者氏名 甲野太郎(こうのたろう)
生年月日 昭和○○年○○月○○日
住所   大阪市北区西天満4丁目7番3号
 
2 事故日から診療記録等の文書+レントゲン等の画像資料の送付を求める場合
   下記患者に関する,平成○○年○○月○○日(本件交通事故日)以降に,診療に際して作成し,又は取得した
① 診療録(保険医療機関及び保険医療養担当規則22条に基づくものを含む。),手術記録,麻酔記録,各種検査記録,検査成績表,看護記録,入院診療計画書,入院期間中の診療経過の要約,退院療養計画書,退院証明書,診療情報提供書その他一切の書類
② レントゲン,CT,MRI等の画像記録(CD-Rによる送付は可)

患者氏名 甲野太郎(こうのたろう)
生年月日 昭和○○年○○月○○日
住所   大阪市北区西天満4丁目7番3号
 
3 事故日以前の初診日から診療記録等の文書のみの送付を求める場合
   下記患者に関する,事故日以前の初診日以降に,診療に際して作成し,又は取得した診療録(保険医療機関及び保険医療養担当規則22条に基づくものを含む。),手術記録,麻酔記録,各種検査記録,検査成績表,看護記録,入院診療計画書,入院期間中の診療経過の要約,退院療養計画書,退院証明書,診療情報提供書その他一切の書類(ただし,レントゲン,MRI等の画像記録は除く。)

患者氏名 甲野太郎(こうのたろう)
生年月日 昭和○○年○○月○○日
住所   大阪市北区西天満4丁目7番3号
   本件訴訟において,既往症が問題となっているため事故日以前の初診日からの記録を求めます。
 
4 事故日以前の初診日から診療記録等の文書+レントゲン等の画像資料の送付を求める場合
   下記患者に関する,事故日以前の初診日以降に,診療に際して作成し,又は取得した
① 診療録(保険医療機関及び保険医療養担当規則22条に基づくものを含む。),手術記録,麻酔記録,各種検査記録,検査成績表,看護記録,入院診療計画書,入院期間中の診療経過の要約,退院療養計画書,退院証明書,診療情報提供書その他一切の書類
② レントゲン,CT,MRI等の画像記録(CD-Rによる送付は可)

患者氏名 甲野太郎(こうのたろう)
生年月日 昭和○○年○○月○○日
住所   大阪市北区西天満4丁目7番3号
   本件訴訟において,既往症が問題となっているため事故日以前の初診日からの記録を求めます。

第7の2 労働基準監督署が作成した労災保険の書類を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法

○労働基準監督署が作成した労災保険の書類を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法は以下のとおりです。

(業務災害の場合)
甲野太郎(こうのたろう)(昭和○○年○月○○日生)(住所:大阪市北区西天満4丁目7番3号)が平成29年7月12日に大阪市北区西天満で被災した業務災害に関して,○○労働基準監督署において実施した災害調査又は災害時監督及び労災保険給付に関する一切の資料

(通勤災害の場合)
甲野太郎(こうのたろう)(昭和○○年○月○○日生)(住所:大阪市北区西天満4丁目7番3号)が平成29年7月12日に大阪市北区西天満で被災した通勤災害に関して,○○労働基準監督署において実施した災害調査又は災害時監督及び労災保険給付に関する一切の資料

第7の3 介護記録を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法

○市区町村が作成した介護記録を取り寄せる場合における,「文書の表示」の記載方法は以下のとおりです。

下記の者の,平成○○年○月○日から平成○○年○月○日までの,介護保険に関する次の文書
1 要介護(支援)認定(更新・変更)申請書及び付属書類
2 要介護(支援)認定(更新・変更・取消)に関する一切の文書(認定書,調査報告書,医師の意見書・診断書,認定審査会への求審査及び判定書,認定審査会からの通知書など)
3 介護(支援)サービス費等の支給に関する一切の書類(請求書など)
被保険者氏名 甲野太郎(こうのたろう)
生年月日   昭和○○年○○月○○日
住所     大阪市北区西天満4丁目7番3号

第8 証人等目録への記載

1(1) 文書送付嘱託及び調査嘱託に関する事項は,民事訴訟記録の第2分類(証拠関係書類)の目録群の一つとしての,証人等目録に記載されます。
(2) 証人等目録の書式は,民事事件の口頭弁論調書等の様式及び記載方法について(平成16年1月23日付の最高裁判所総務局長,民事局長,家庭局長通達)の第4号書式として定められています。

2(1) 文書送付嘱託の場合,以下のような感じで証人等目録に記載されます。
① 文書送付嘱託の申立てがあった場合,「期日等」欄に申立日が記載され,「証拠方法の表示等」欄に「送付嘱託 (嘱託先の名称) 別紙申立書のとおり」と記載されます。
② 期日又は期日間に採否が決まった場合,「採否の裁判」欄の「期日等」欄に,□にレ点を付けたり,日付を記載したりし,「採否の別」欄の「採・否」のいずれかに○を付けます。
   また,「備考」欄に「平成○○年○月○日嘱託」と記載します。
③ 嘱託文書が届いた場合,「備考」欄に「平成○○年○月○日写し到着」と記載します。
④ 裁判官が期日に提示した場合,「第○回弁論提示」とか「第○回弁論準備提示」などと記載します。
(2) 嘱託文書が期日に提示されただけでは証拠となりません。
   そのため,文書送付嘱託で取り寄せた文書を証拠にしたい場合,書証番号を付けた上で書証として提出する必要があります。

3(1) 調査嘱託の場合,以下のような感じで証人等目録に記載されます。
① 調査嘱託の申立てがあった場合,「期日等」欄に申立日が記載され,「証拠方法の表示等」欄に「調査嘱託 (嘱託先の名称) 別紙申立書のとおり」と記載されます。
② 期日又は期日間に採否が決まった場合,「採否の裁判」欄の「期日等」欄に,□にレ点を付けたり,日付を記載したりし,「採否の別」欄の「採・否」のいずれかに○を付けます。
   また,「備考」欄に「平成○○年○月○日嘱託」と記載します。
③ 嘱託文書が届いた場合,「備考」欄に「平成○○年○月○日到着」と記載します。
④ 裁判官が期日に顕出した場合,「第○回弁論顕出」とか「第○回弁論準備顕出」などと記載します。
(2) 調査嘱託回答書は期日に顕出されただけで証拠となります。
   そのため,調査嘱託回答書に書証番号を付けて書証として提出する必要はありません。
証人等目録
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。